経験する前は、映画に出てくるような
美しくてロマンティックなイメージで
とらえてたけど、実際はそんな夢物語なんか
じゃなくて「うーん、こんなに生々しいもの
なんだ!」って思った。
やっぱり私たちは動物なんだな
って気がすごくした。
はだかだって、ふだんパンツ脱いで
歩いている人はいませんからね。
ふつうに考えたら、
とてもできないような格好をするわけだし。
スイッチが入ると人間は
こんなことができるんだ、
いやあ、すばらしいと。
特別どう、っていうことはなくて、
「ただ相手が処女だった」ってだけ。
すでに行為に及んでるわけだから、
処女かどうかなんて関係ないんだよ。
過去になにがあったかなかったかなんて、
関係ないからね! 
いま好きかどうかが問題だろ?
「自然な流れに任せるのが一番」、
これにつきるんじゃないでしょうか。
友達が経験したことを聞いてあせったり、
好奇心で好きでもない人としたりしなくても
本当に自然と、そういう行為に至る
タイミングっていうのが
くるものだと思います。


だれでも一度は、処女だった。
千木良悠子+辛酸なめ子

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よくあるサブカル本?
そういう興味で思わず手にとったあなた。
ありがとうございます。
たぶんほかのことが手につかなくなるくらい、
頁をめくる手が休まることは
なかったのではないでしょうか。

そう、18歳から80歳まで、
その数56人がそのとき、その前後を語ります。
そして、彼女ら一人一人の懐の深さと、
人生の奥行きの深さとに、
いちいちついつい、目頭が熱くなります。
歴史は、女でつくられる。とまでは言いませんが、
「普通」の女子たちの、切ない思いや勇気や失望、
そんな感情の細かな細かな営みの連続が、
歴史そのものなんだなあ、
と、この本を読んで、私は思いますが、いかがでしょう。

彼女たちやここには登場していない
たくさんの名もなき女性たちと、
そしてもちろん、男性たち。
そして彼女たちの語りのすべてに、
心から乾杯したくなる、いい本です。
まだ手にしていないあなた、ぜひ。

(編集担当・清水檀)

2010-06-08-TUE


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